映画「不撓不屈」2006年06月22日 18時14分59秒

 今日は動物園前シネフェスタにて「不撓不屈」を観賞。この映画、国税庁の尋常ではない違法ないやがらせ(というより、国家権力が犯罪をでっちあげるという、あってはならない冤罪事件)に正面から立ち向かった実在の税理士を描いた社会派ドラマでした。

 原作は、あの高杉良氏ですから徹底した取材に基づいて書かれたものでしょう。ただ単に表面的にニュースを追いかけるだけで、当局発表の御用記事しか書けない新聞記者たちとはわけが違います。

 それにしても、権力というものは怖いですね。本来、権力を持つものは道徳心に満ちあふれた人間がならないといけないのですが、組織というヒエラルキー(階層)社会では、モラルのない人間が権力を握りがちです。

 それは、たとえ一時すぐれた人格者がトップにいても、一旦、モラルのかけらもない人間が権力を握ると、それ以降はモラルのある人間は遠ざけられ、ごますりのモラルのない人間ばかりが周りを固める形になってしまうからです。これは悪代官の昔から現在に至るまで変わっていません。官公庁だけではなく一般企業も同様ですが、その弊害は官公庁の場合特に甚大です。

 残念ながら品格の高い方は上昇志向があまり強くなく、逆にモラルを持ち合わせない人間ほど出世欲の固まりになりやすいので、必然的にどの組織もモラルのない人間が権力を握っていきやすいのです。

 かってのノーパンしゃぶしゃぶ事件を取り上げるまでもなく、天下りで何度も退職金をもらって何も感じないような人間ばかりが出世しているのが現実です。

 国民年金問題の社会保険庁しかり、C型肝炎ウィルス感染を放置した厚生労働省しかり、モラルのあるまともな高級官僚がほとんどいないようです。

 話題の福井総裁などはまだましな方らしいですが、それでも渡り鳥で1億円以上手にしてるそうですから、あの1千万円などほんのおこづかいなのでしょう。

 こういった輩が権力を握るのを避けるにはチェック機能が働く仕組みが不可欠なのです。政治でいえば二大政党制がそれにあたるでしょう。 

 共産主義がなぜダメかという根本原因もここにあります。そう、一党独裁ではチェック機能が働かなくなり、旧ソ連のスターリンのように、一旦おかしな人間が権力を握ると、優れた人たちは粛正され、後は悲惨な道をたどるだけになるのです。

 共産主義が成り立つのは、すべての人々が神様の様に利他愛に満ちあふれている場合のみなのです。

 かなり、脱線してしまいました。

 この映画では本来庶民の味方であるはずの検察までもが、国税庁のいいなりになって違法捜査した事が示されてました。おいおい、最後の良心の砦まで腐ってしまったの?と、ほんと情けなくなってしまいました。

 でも、国税庁内部にも良心を持つものがいましたし、良心をもつ政治家もいたことで、最後は国税庁に勝つことが出来たのが何よりも救いでした。

 正義が勝つ!これが成り立たなければ、いずれこの国は自滅への道を辿ることでしょう。800兆円を超えるまで膨らんだ借金を放置してきた現状を見ると、もう間に合わないかも知れませんが・・・

 そうそう、このモデルの飯塚税理士が作られたのがTKC、最近TVコマーシャルなどで良く見かけるTKC全国会。TKCって栃木計算センターの頭文字からとったものだったのですね。

コメント

トラックバック